消費電力を最小限に抑えた機械学習を可能にし、エッジデバイスの処理性能を向上させることを目指しています。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:津下一郎、以下「伊藤忠テクノソリューションズ株式会社」)は、マサチューセッツ工科大学(MIT)からスピンオフしたスタートアップ企業であるLiquid AI, Inc(本社:米国マサチューセッツ州、共同創業者兼CEO ラミン・ハサニ、以下「Liquid AI」)とエッジAIの開発に関する協業を開始しました解決策。目標は、最小限の処理能力で適応性の高い機械学習を可能にするLiquid Neural Network(LNN)などのLiquid AIの機械学習手法を活用して、エッジデバイスの処理パフォーマンスを向上させることです。
近年、カメラやIoTセンサーなどのエッジデバイスで取得したデータを、デバイスにコンピューターを搭載した状態で即座に処理できるエッジAIに注目が集まっています。エッジAIは、AIをデバイスの近くに配置することで、サーバーとの通信コストを削減しながら、リアルタイムで分析や意思決定を行うことができるようになります。そのため、自動運転の地上車や航空機、店内カメラによる顧客行動分析、工場での異常検知などへの利用が期待されています。
このコラボレーションは、Liquid AIの機械学習技術を活用して、大量のデータをエッジでリアルタイムに処理するエッジAIソリューションを開発することを目的としています。特に、LNNは、他の最新の代替AIソリューションよりも、以前に学習したデータには含まれていない未知の環境や予期しない状況への適応を柔軟に学習できるため、ドローンや車両の自律航行に使用されることが期待されています。今日の機械学習モデルでは、高次元の視覚データから地上および航空機をナビゲートするために、何百万ものパラメーターを備えた大規模なニューラルネットワークが必要です。一方、LNN では、1 ~ 3 桁少ない数のパラメーターでタスクを実行できます。LNN はサイズが小さく、アルゴリズムが効率的であるため、エッジデバイスやユーザーの近くに設置された小さなコンピューターでも実行できます。その結果、AI インフラストラクチャのコストを比例して削減でき、電力消費量と CO2 排出量の削減につながります。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、リキッドAIのAIを活用して、地上および航空機の堅牢で自律的なナビゲーションのための最先端のエッジAIソリューションを開発します。そのためには、Liquid AI の技術と、カメラベースのエッジ AI ソリューションの提供やデータ分析インフラの構築を通じて得た専門知識を組み合わせています。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、2023年4月に海外のスタートアップ企業とのより強固なパートナーシップを構築し、共創していくための取り組みである「NAPP(北米パートナーシッププログラム)」を立ち上げましたが、この取り組みもその一環です。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社は、今後もLiquid AIと連携して、LNN活用に向けた実証実験や、大規模AIシステムを運用するためのデータ分析や省電力化などのサービスの技術検証を実施していきます。